子供の頃には平気で触れた虫が大人になって触れなくなるのは何故でしょうか。大の大人がギョッとする顔を見て、細菌などがいることを知り避けるようになって、いつの間にか遠い存在になるのも理由の一つではないかと思います。最近の出来事から、じっくり向き合うことで恐怖心を和らげることができるのではないかと思いました。
ヤモリと同棲
今年の8月のことですが、お風呂の脱衣所スペースにどこから入ったのかヤモリが突如現れました。元気よく天井近くを動き回り、そのクネクネぴょこぴょこした様子が気持ち悪かったのですが、虫を食べてくれる存在であることは知っていたので、追い出しもせずそのままにしておきました。
夜は寝ている時に自分の顔をよじ登ってきたりしたら嫌だなあと思い、一応部屋のドアを閉めて寝ていたのですが、ドアを閉めるという行為は全く意味をなさないことがわかりました。引き戸はヤモリが余裕で通れるほどの隙間があるし、普通のドアも通気のためか下の部分が地面から1センチほど開いていました。部屋の中を縦横無尽に動き回っていたようで、畳んだ布団の中から出てきたりして相当にびっくりしました。
明るいうちはどこかに身を潜めているのでしょうか。そのうちに姿を見なくなりました。この部屋のどこかにいるだろうとは思いながらも、害もないので探すことはしませんでした。
その時に描いた絵がこちら。虹色の光が周りを囲んでいるイメージが湧いてきました。ヤモリがまるで問題ないよと言っているかのように感じました。
2週間ほど経ち、ついに姿を表しました。餌が十分にないからでしょうか、最初に会ったときほどの俊敏さがなくなり動きがちょっと緩慢に。大きさも変わっていません。このままでは弱っていくだろうと思い、思い切って外に出すことにしました。しかし触れないので、どうしたらいいかSNSで相談したところ、箒とちりとりで取るという作戦を教えてもらいました。
ちょろちょろするヤモリをちりとりに乗せると大人しくなりました。元気でな!という気持ちで玄関の外に出し、さよならしました。
ヤモリとの再会
そのこともすっかり忘れていた先日のこと、11月にしては25度を超えた暖かい日がありました。外出先から帰りドアを開けると、頭上からポトリとヤモリが落ちてきました。玄関の靴脱ぎ場に落ちたそれはどんどんと部屋に上がり込んでしまいました。
おいおい、そっちじゃないよ。と声に出して呟いていたかもしれません。夏に同棲していたやつかな?と一瞬思いましたが、それだったらもうちょっと太っていて欲しいなと思うような小ささでした。
絵を描いた時に写真をじっくり見ていたせいもあるでしょう。焦ることもなく、迷い込んだヤモリをしばらく観察していました。なんだか色も模様も美しく、手足の吸盤もとても可愛く見えてきました。
もう入ってくるなよと思いながら、指でちょいちょいと触りつつ外に誘導しました。夏は全く触れなかったので、大いに成長したと思います。
こんな些細な出来事ですが、恐怖心が和らいだのは観察のおかげであることに気づきました。恐怖を感じる対象がある場合、脊髄反射させずに、じっくりと観察してみるのも一つの手だと思います。それは目に見えないものについても同じ。イメージで漠然と怖がらずに、周りの環境、変化をよく観察してみる。するとそんなに恐れるものでもないことが感じ取れるはずです。
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